留め方(剣山を使わない場合)
折り入れに使う筒や壷、花瓶などの花器は、口が狭かったり、丈が高いために剣山を使うことができません。その場合は、まず、花材を器にただ挿し入れるだけで留めてみます。
切り口が花器の内面に密着するように斜めに切り、花器の口縁とその密着させた足もとを支えにして挿めます。。深く入れると小さく、浅く入れると大きく傾けることができますが、茎がじゅうぶん長い花材の場合は、角度を見計らって茎や枝の中ほどを折ると、花器の内面に密着する部分が多くなってより安定します。
また、それとは逆の向きに折り、折った部分の反発力を利用する方法もあります。
次は、花材の足もとに留め木を仕掛ける留め方です。 縦のかんざしを付ける場合ですが、かんざしの上部に縦の割を入れ、そこに花材の足もとをはさみます。大きく傾けたい場合はかんざしを長く、立ち気味にしたい場合は短くしますが、短い寸法の花材を長く使いたい場合にも応用できます。
横かんざしを付ける場合は、花材の足もとのほうに割を入れ、そこにかんざしをはさみます。そして、花器の直径に合わせてかんざしの長さを決め、大きく傾けたい場合は浅く、立ち気味にしたい場合は深く入れます。
このほかに剣山を使わない留め方としては、花器に留め木を仕掛ける方法があります。生花の花配りもその一つですが、横一文字といって花器の直径に合わせた留め木をさし渡して、内を二つに仕切ります。こうすると短い花材でも楽に立ち気味に留めることができます。もう一本の留め木を使った十文字にすると、仕切りが四つになってさらに自在に花材の傾斜角度を調整できます。簡単な方法として、丸めた針金を花留めにする針金留めもあります。
(株)敬風社「日本古流いけばな」より




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