五行型


五行型は木、火、土、金、水という五つのはたらきを、真、体、留に、受と留流しを加えた五つの役枝によってあらわす花型です。詳しくは前掲の生花の概説に述べてありますが、真は火性を、体は木性を、受は金星を、留流しは水性を、そして留は土性をあらわします。三才型や陰陽型と同様に不等辺三角形が役枝の配置の基本ですが、受と留流しの枝が領外流れるのが特徴です。また、真がいったい弓形に湾曲し、さらに反るように立ち上がるため、体との間に配する内添が重要な役割をはたします。多くの要素を含んだやや複雑な花型ですが、三才型と陰陽型をふまえた上で習得しましょう


五行型の基本

この花型は五つという多くの役枝で成り立っていますから、それぞれの役枝をよくはたらかせながら、全形のバランスを上手にとりことが肝要です。


いけ方

五行型は、金性の特徴を示す凝縮性をあらわすために、受を丸く形づくったり、火性をあらわすように、真にゆるやかなS字形の曲をつけたりするので、どんな花材を使ってもいけられるというわけにはいきません。ここでは、最もよくこの花型の特徴をいけあらわすことができる葉蘭を使っていけました。

1.まず、真の葉を弓なりに内側へ曲げ、さらに上部を外へ曲げ戻すようにして挿します。次に、内添の葉を一枚、真の葉のカーブに合わせて曲をつけ、真の手前に入れます。葉先を丸めた受の葉を、真の後ろに添わせるように挿します。

2.真の前添の葉と、真の後添の葉を加えます。

3.体の葉を挿します。

4.留の前添の葉と、留の後添の葉を入れます。

5.留と抱き込みの葉、そして留の流しの葉を大きく右へ流して挿し、いけ上がりです。


花器と道具 生花の花器 盛花の花器 折り入れの花器 花台と敷板
道具類
基礎技術 花材の切り方 花配りの作り方 留め方(1) 留め方(2)
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三才型の変化 陰陽型の基本 陰陽型の変化 五行型


(株)敬風社「日本古流いけばな」より